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2018-10-30

おかえりなさい! いのちてんでんこ。

【ラストシーン】

来年の3月10日の本公演に先立ち、
8月10日 大船渡リアスホールマルチスペースにて ミュージカル「いのちてんでんこ」のプレ公演が行われました。これは、本年度冬開催の三陸国際芸術祭のプレ事業の一環ということもあり、旅行社や海外関係者、芸術祭関係者の方々に観ていただきました。


主役を演じるのは、陸前高田市出身で いまは弘前大学に通う、熊谷 衡(こう)君です。 彼自身、震災当時は小学6年生で家屋は全壊、避難所や仮設住宅での生活を 余儀なくされました。その後、大船渡高校に進学し演劇部に所属。 高校時代は飴屋法水の戯曲「ブルーシート」を演じ東北大会まで出場した経歴の持ち主です。 そしていま、「新・いのちてんでんこ 気仙バージョン」の主人公として60分の 舞台を堂々と演じきりました!


【出演者・スタッフ】

それは、「いのちてんでんこ」に またひとつの新しい光が見えた瞬間でした。



【ミロト・パフォーマンス】

同日、日本フィルハーモニーの公演のオープニングとして、大ホールホワイエにて、アジア神々の系譜でCプロを演出するマルティヌス・ミロト氏に踊っていただきました。たくさんのオーディエンスが不思議なミロトのダンスに魅了されていました。


2018-09-15

宮城作品「シシオドリ海を渡る」シナハンを遂行!!

2018年初夏、晴れ渡る三陸沿岸を劇作家・黒川陽子氏と一週間に渡って歩きました。
南三陸を中心に石巻や仙台を行ったり来たりしながら取材を重ねていきました。
三陸市民が演じる「シシオドリ海を渡る」のシナリオハンティングが目的です。



【村岡会長】

最初に、南三陸町の水戸辺鹿子躍の村岡会長に話を聞きました。一度途絶えてしまった鹿子躍を復活させるために奮闘してきた会長に、なぜ鹿子躍をいまも牽引しているのか?とお聞きすると、「鹿子躍は、家族のようなもの。次の代に引き継ぐまでは、辞めれないよね。」と暖かい眼差しで答えていただきました。



【水戸辺鹿子踊供養塔 1724年建立】

書物があまりない民族芸能の歴史を紐解くために、災害と文化に詳しい宮城教育大学の山内明美准教授(南三陸出身)、東北大学の柴山明寛准教授、川島秀一シニア研究員の話を聞きました。三陸沿岸は、何度も集落自体が消えるような大きな災害や飢餓(餓死=ガス)に見舞われてきたそうです。重い話になりますが、耕そうとするとすぐに土の中から仏さん(屍)が出てきたから、新たな入植者達はたまったもんじゃなかった。なるほど、いろんな芸能の中にある「回向(供養)の踊り」が、なぜ腰を低くして土を踏みしめるのか、わかったような気がしました。 悲しいことがあっても、三陸の人々は、明るく暮らすことができるのだと言います。大きな不幸が起きれば必ず大きな幸運が次にやってくるというポジティブな思考が暮らしの中に染み込んでいるのです。 



【一迫の鹿躍大会】

そして、幸運にも、取材中に宮城県一迫で鹿踊大会があり、6団体のシシオドリを見ることができました。発祥は一つだったかもしれないシシオドリがそれぞれの地へ伝承されて今に到るまで、それぞれの景色や風土に合わせてカタチを変えていったのでしょう。「鹿踊り・獅子躍・鹿子踊」と書き方も多様。時代による変化や踊り継いできた人たちのゆったりとした時間の経過を感じて、過去から未来へ繋がっていく民族芸能の強さを感じました。「本物は復活させる価値がある」村岡さんがおっしゃっていたこの言葉は、いまでも頭の中を反芻しています。


【東北大学の学食 黒川さんお疲れ様】